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2010年12月16日木曜日

アイデンティティ

 
いつから使われるようになった言葉なのか。
余計な御世話だと思う。

家庭医のアイデンティティとか、総合医のアイデンティティとか。

臓器別専門の網からこぼれおちる患者がいる以上、それ以外に何の理由が必要か。

臓器別専門医でない医者というのではアイデンティティが保てないと思うなら、臓器別専門医になればいい。臓器別専門医の仕事もやりがいがあるし、必要とされる仕事だ。

へき地医療にかかわる中で、「へき地がある限りへき地医療がその存在意義を失うことはない」、ということを明確に自覚した。へき地医療は都会では必要ないが、へき地には必要である、当たり前のことだ。

今となれば「へき地に長くいると、へき地でしか通用しなくなる医者になるぞ」、という問いに対し、「望むところだ、へき地で通用しない都会の医療をへき地でやってどうする」、と明確に答えることはそれほど難しいことではない、と思う。自分がへき地医療をやりたいかどうかなんてのは、全くどうでもよい。そう思えたとき、目の前には大きな世界が広がっていたと思う。
 
アイデンティティなんて言葉は捨ててしまえ。

自分は自分以外のものでできている。
 

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