勝ち負けについて考える機会があった。
自己実現、夢、出来れば遠ざけたい言葉たち。
遠ざけたいのは勝つことが前提にあるからだ。
それは単に個人的なことにすぎなくて、私自身が受験勉強で他人を押しのけて合格してきた過去が受け入れられないだけかもしれないが。
思い出すのは、小学校の国語の教科書。
テニスのデビスカップかなんかで、日本人の清水善三選手がどこかのチルデン選手と戦ったときのこと。ここを決めれば勝てるという場面で、チルデン選手が足を滑らせたのを見て、柔らかいボールを返して、結局負けてしまう。
清水選手のこの行為についてどう思うかを話し合った覚えがある。何を言ったかまでは全く記憶にないが、今はこの問いについて、少しは明確に答えることができる。
柔らかいボールを返すことこそ、生きるということである、と。
負けること。
負けることで何かをなすというのは、勝って何かをなすのより、ずっと価値があるのではないか。
世界に平和をもたらす人がいるとすれば、勝つ人ではなく、負ける人にちがいないと思う。
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