ここで働いています

2012年6月26日火曜日

学会の見解を無視するな


ちょっと面白い事件があった。
日本医事新報という雑誌に「その場の1分、その日の5分」という連載をしているのだけど、それに対するご意見。

おしゃぶりと乳児突然死との関連について、5分勉強した内容を書いたのだが、それについて、以下のようなご意見。自分自身としては5分の勉強でかなりいけたと思うのだが、なかなか厳しい。5分の勉強という言い訳を許さない勢い。おしゃぶりを取り上げながら、歯並びを悪くする害について触れていないのが問題だという指摘である。

日本小児科学会と日本小児歯科学会の検討チームは、おしゃぶりが児の歯並びに影響することを学会誌に発表しており(日児誌109(6):780-781)、小児科医の多くは患者にも説明するものと思います。歯並びが重大な害と考えるかどうかは患者さんによって様々であり、EBMの連載だからといって、またプライマリケア医だからといって、小児科学会の見解を無視した記事を書かれるのは、いささか問題かと思われますがいかがでしょうか?」


貴重なご指摘ありがとうございます。


しかし、学会の見解と異なるものが出るのを問題視することこそ、もっと大きな問題でしょう。
学会は様々な意見に対して、それを封じ込めるようなことをしてはいけません。

個人的なことで言えば、小児科学会にかぎらず、学会やそれに類するものから自由であるということが私の売りなんですけど。


ただこういう人たちがいるので私は次々面白いネタに事欠かない。本当はお礼を言うべきかもしれません。


今度は、おしゃぶりと歯並びについて調べてみたい。
学会の見解とは別に勉強するというのがいいのです。
これからも学会の見解とは異なる様々なネタを提供していきたいです。





2 件のコメント:

OikawaTakumi さんのコメント...

名郷直樹先生
実は私、そのメールを送ったものです。私の日本語力と医学知識の不足により、先生をご不快にしてしまい、大変申し訳ございません。
医事新報7月28日号の先生の連載を読ませていただきました。大変合点がいく、読んで胸がすっきりする内容で、心から感謝申し上げます。
「代用アウトカムと真のアウトカム」について、もっと勉強してみたいと思います。
私の少ない経験では、おしゃぶりを止めさせるのは、母児双方の因子がからんで意外と難しい記憶がありますが、これについての対処は、小児科専門医として自分で考えていきたいと思います。
まだ不勉強な私には、学会の見解に逆らう勇気はありませんが、先生のようにはいかなくとも「これで本当にいいのか?」と疑問を抱けるくらいにはなりたいものだと思っております。
今回は本当にありがとうございました。
済生会西小樽病院 小児科
及川 巧(拝)

名郷直樹 さんのコメント...

コメントありがとうございます。
こちらこそ大変貴重なご意見をいただきありがとうございました。
先生にとっては不快な記事であったこと、なにとぞご勘弁ください。これが私の売りなのです。

どうぞこれからも忌憚ない意見お聞かせください。よろしくお願いします。

名郷直樹