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2010年9月10日金曜日

怖いのは菌か抗菌薬か

 
今回の院内感染、耐性菌事件は今の世の中の象徴的な部分の反映か。

そういうタイミングで、テレビの除菌薬のコマーシャル。
カーペットにシュッ、ベッドにシュッ、衣服にシュッと、あれである。

菌=悪、除菌薬=善、という構図であるが、そんなことはわかったもんじゃない。
普段仲良くしていたのは菌の方で、新たに現れた除菌薬こそ敵かもしれない。
院内感染も似たような問題である。菌=敵という行き過ぎた結果ではないか。

と考えてきてどうにもつまらない。

そういう思考は、なんだか身に付いた気がする。ただそれも一つの思考なのだ。
正、反、合、なんてのはいつまでたっても堂々めぐりするしかないやり方だと思う。
菌は敵でも味方でもないし、除菌薬も敵でも味方でもない。こういう考え方ができて、何か止揚できている気はしない。上に揚った感じはない。

脱構築なんていうのだが、それも少し違う。そこにも何か思考方法のステップアップなんていう段階がある気がする。

そうなると、やはり「無」なんてのにひかれてしまう。

院内感染の事件をのぞくと、奈落の底が見えるかもしれない。しかしそこは奈落ではなく、単にとなりだったりする。価値から自由である「無」。

「最後の親鸞」に、「横に超える」というようなことが書かれていた気がする。
院内感染を横に超える。そういうことができた先には、「何もない」が待っているかもしれない。

怖いのは、菌でなく、除菌薬でなく、一体何か。
名づけることか。姿をとらえることか。価値を見出すことか。
 

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