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2011年3月8日火曜日

再びワクチンのこと、あいまいな中での決断

 
ワクチンの同時接種後に死亡例が出たとの報道後、接種の中断という状況となり、いろいろな議論が飛び交っている。

抗インフルエンザ薬のタミフルによる精神症状を疑う転落事故の報道の後、因果関係は不明だから、投与中止にするようなことじゃないという結末。

それに対して今回のワクチンの場合。ワクチン接種と死亡の関係は不明だが、接種中断、再開の見通し不明という結末。

まあポリティカルな判断というのは、こういうものだと言えばこういうものだ。

まれな副作用について明確な判断をすることはほとんど困難だ。そうである以上、科学的な要素以外で決定するより仕方がない。上記のような矛盾した判断は、様々な状況を考慮した現実的な判断をしたということでもある。

と書きながら、ポリティカルでなくても決断というのはこういうもんだということに気づく。
さらに明確なエビデンスがあるとしても、明確な決断ができるわけではないということにも。
個別の患者に向き合っても、そういうあいまいな中で決断している。

本当はどんなことだって、どっちがいいのかよくわからない中で決めるしかない。

ここでのもっとも重要な問題は、ワクチンをどうするとかいう個別の問題だけではないような気がする。その背後に隠れた、多くの医者が「あいまいな中での決断に慣れていない」という別の問題こそ、ここでの最大の問題ではないだろうか。
 

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