たとえばインフルエンザが心配で検査をしてくださいという患者。
それに、インフルエンザだとしても心配ないですし、仮に検査が陰性だとしてもインフルエンザでないとは言えないので、検査は無駄ですよという医者。
「インフルエンザ」という言葉が示すものは、同じ言葉でありながらバラバラだ。コトバ自体は、インフルエンザについて何を表わしているわけじゃない。だから当然様々な誤解が起きる。
言葉としては一応同じだから、全く違ったものを示す言葉であっても、とりあえず話が通じてしまう。本当は通じてはいないのだけど。
ということで、「インフルエンザ」という言葉が表わしているものはいったい何かと、個々の患者でいちいち考えていかなくてはならない。
こういうのも「病の語り」の一面だが、あまりここにこだわると、単に言葉に振り回されるだけのことになる。
言葉が表わすものはばらばらだ、何か一つのことを表わしているわけじゃない。全く当たり前のことなのだが、そのことだけは常に肝に銘じておかなくてはいけない。
0 件のコメント:
コメントを投稿