ここで働いています

2011年2月25日金曜日

国立大学の入試の日に

 
今日は国立大学の試験らしい。理系学部の競争率が上がったと新幹線の中の文字ニュースが流れている。それでちょっと書きたくなったこと。

自分自身にとっても、ついこの前のことのようにも思える。受験以後あまり経験しないような気分だから、いくら日がたっても遠くなった気がしないのか。よくわからんが、30年以上前という、そんな遠い日ではないような気がする。

振り返ってみるに、そのときに考えていたことは、「いい大学に合格したい」ということであって、「医者になりたい」ということではなかった。別にそれはそれで今となってはまったく問題ない、といえるのだけれど、まあなんだかトンチンカンなことをしていたことは確かだ。それでも25年もやっていると、それなりにいろいろわかってきたこともある。たかだか18歳で医者になりたいと思うのは、ある意味とっぴな考えだけど、とっぴな考えでなく医者になろうと考えるのはほとんど不可能だ。

で、実際に医者をやってみると、いろいろやり始める前には予想もしないようなやりがいがあり、当初の選択ミスも帳消しにはされたのだが、それがわかるには相当な時間を要した。

医者になってみてよかったことはいろいろあるが、一番よかったのは、いくらでも仕事があるということだと思う。いくらでも仕事があると思うから医者になります、そんな理由を聞くと、そっちのほうがとっぴな考えに思うかもしれないけど、病気の人を救いたいんです、なんてのは結構とっぴなことだ、と自分の中では明確になっている。それでもそういう病気の人を救いたいというようなとっぴな意見を持つ人が医療を支えているのも事実で、現実はそういう道が王道であるのもまた確かなことだ。

でも、人が救えるから医者になってよかったというふうに思える人は案外少ないのではないかと思う。

というわけで(どういうわけだかわからんからこう書くのだが)、これから働こうという人たちに、いくらでも仕事がある領域を選びなさい、というのはまあまあ的を得たアドバイスではないだろうか。
 

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